事務職への転職は「未経験歓迎」とは言っても、倍率が高く、実際は経験者でも選考突破は狭き門。
厚生労働省の一般職業紹介状況によると、2025年2月は有効求人倍率0.49倍です。
転職の時代とはいえ、事務職だけは別格で企業側が人材を選べる「買い手市場」なのです。とくに正社員での転職は非常に難しいのがネック。
そこで、他の応募者と少しでも差をつけるには「資格」が強い味方になります。

たくさん応募者がいるので、書類選考も激戦区。「少しの差」に資格が役立ちますし、面接での話題にもなります。
この記事では、選考突破が難しい事務職の転職成功をサポートするおすすめ資格を3つを紹介します。
- 事務職の転職に役立つ資格3選
- 日商簿記検定
- MOS(Microsoft Office Specialist)
- TOEIC L&R TEST
- おすすめの勉強ツール3選
- 教育訓練給付金とは
資格だけで必ず選考突破には繋がりません。しかし、資格取得には時間と労力がかかるので、評価されることも事実です。



似たような応募者でどちらかを選ばないといけない、というときに資格を持っている方を選ぶ、と採用担当者もおっしゃっていました。
資格取得に励んで、少しでも難しい事務職の転職活動を有利に進めていきましょう!
事務職の転職に役立つ資格3選


ここでは私がおすすめする事務職の転職に役立つ資格を3つ、資格の概要とともに紹介します。
日商簿記検定
日商簿記は、日本商工会議所が主催する経理・会計スキルを評価する資格試験です。企業や個人事業者の取引や経営活動を記録・整理し、財務状況を把握する力が求められます。
各級の特徴は以下のとおりです。
各級 | レベル | 合格率 |
---|---|---|
3級 | 小規模企業向けの基礎的な簿記知識 | 30~40% |
2級 | 商業簿記と工業簿記を含む中小企業向け | 統一試験: 20%前後 ネット試験: 35% |
1級 | 大企業の経営分析にも対応する上級レベル | 10~15% |
簿記の目的は、決算書(貸借対照表・損益計算書)を作成し、企業の経営状態を把握すること。経理や財務に限らず、営業事務など幅広い職種で活かせるビジネススキルのため、事務職の転職に有利と言えるでしょう。



私も簿記3級を取得しました。勉強は難しいですが取得できたことで転職活動中、簿記3級が必須条件の企業に応募でき、選択肢が広がりました。
まずは3級を目指し、余裕があれば2級も狙えると良いでしょう。ただし、3級でも会計分野での十分な知識が身につきます。



簿記の知識ゼロから始めましたが、理解するのに時間がかかり、3級でも決して簡単な資格ではありませんでした…!
簿記3級は人気の資格ですので、市販の教材は非常に充実しています。
YouTubeなどの無料の動画講義や仕訳アプリと無料で勉強できるツールがたくさんありますので、ひとつずつ試してみると良いでしょう。
年間50万人以上が受験する国内最大級の検定で、多くの企業が取得を推奨しているため、人気の資格です。



経理は業界問わず、どこの会社にも必要な部署。実務経験も積めれば、業界を変えての転職もしやすいのも魅力です。


MOS(Microsoft Office Specialist)
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)は、事務職や営業職など幅広い職種でパソコンスキルを証明できる、就職・転職に強い国際資格です。
なぜなら、Word・Excel・PowerPointなどの操作スキルを客観的に証明できるため、「パソコンが使える」という曖昧な表現を具体的なスキルとしてアピールできるからです。
また、世界共通の資格であり、海外でのキャリアにも通用する点も魅力です。
各級 | レベル | 合格率 |
---|---|---|
一般レベル(Associate) | 基本操作 | 80% |
上級レベル(Expert) | ボットテーブルやマクロなど高度な操作 | 60% |
しっかり対策すれば十分合格可能です。独学での学習も可能で、Excel初心者でもおおよそ80時間の学習で合格を目指せます。
累計受験者数は2022年時点で470万人を超えており、10代から50代以上まで幅広く受験されています。
MOSは、実務に直結するスキルを身につけたい方や、未経験分野への転職を目指す方にこそおすすめしたい、信頼性の高い資格です。
TOEIC L&R TEST
TOEICは、事務職への就職・転職において大きなアピールポイントになる資格です。
特に外資系企業や貿易関連の事務職では、英文メールや資料の読解、海外とのやり取りが求められる場面も多く、TOEICのスコアが「英語の実務対応力」の証明になります。
また、スコア制のため、客観的に語学力を示せる点も評価されやすい理由のひとつです。
TOEICは、リスニングとリーディングを中心とした試験で、合計スコア(990点満点)で英語力を測定します。
事務職を目指す場合、600点以上が一つの目安となり、700点以上あれば「英語ができる人材」として高く評価されることもあります。
英語が苦手な方でも、毎日のスキマ時間を活用した「コツコツ型の学習」でスコアアップは十分可能です。単語帳アプリ、公式問題集、オンライン英会話などを活用し、少しずつリスニングや読解に慣れていくのがポイントです。
TOEICは、英語力を武器にしたキャリアアップや転職活動において強力な味方となる資格です。英語が苦手でも継続すれば必ず成果が出るので、将来のために一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。



貿易事務は派遣の仕事が多いですが、英語✕貿易の知識で、将来的なキャリアアップにも繋がります!
独学におすすめ勉強ツール3選


ここでは独学で資格の勉強をするためにおすすめの勉強ツールを3つ紹介します。
おすすめツールは「YouTube」・「アプリ」・「通信講座」の3つです。



約10年前、私が学生の頃はYouTubeやスマホアプリが勉強のツールになるとは思ってもみませんでした!
YouTube
一つ目のおすすめ勉強ツールはYouTubeを使った動画での講義です。
ひとりで勉強するのはやはり、コツが掴めなかったり理解しづらかったりと独学でのハードルが高いから。
簿記やFPなど人気の資格は質の高いYouTubeチャンネルで有料級の学習ができます!
計算問題など、解き方のプロセスを順序立てて説明してくれるので、動画の方が理解しやすい場合も多いでしょう。



動画のコメント欄も同じ勉強をする仲間やつまづいている内容も知れるので一緒に勉強している気持ちになれます!
YouTubeは勉強のハードルを下げ、理解しやすい効率的な学習を始められる便利なツールです。
アプリ
スマホ時代の現代で、スキマ時間の勉強の強い味方はアプリがぴったりです。
社会人のほとんどは仕事や家事に追われているため、しっかり時間を確保するというよりは、スキマ時間を組み合わせて勉強していくことが重要です。
他にもアプリを使った学習には下記のようなメリットもあります。
- 時間の有効活用ができる
- 場所を選ばずに学習できる
- コストパフォーマンスが高い
- 勉強時間や進捗状況を自動で記録できる
スタディサプリENGLISH、パブロフ簿記などはおすすめのアプリです。
スマホアプリは「いつでも・どこでも・手軽に・効率よく」学べる点が、忙しい社会人の学習に最適です。学習のハードルを下げ、継続や成果につなげやすい環境を作ることができます。
通信講座
通信講座も、忙しい社会人が効率的かつ継続的に学習するために非常に適した方法です。
スクールに通うよりは安く済ませられますが、独学と比べると一気に教材費が掛かり、手が出しづらいかも知れません。
しかし、通信講座の多くは講義動画やアプリ、テキストや問題集がセットになっているため、教材選びをする必要がありません。
そして体系的にカリキュラムが組まれているため、合格までの道筋が立てやすいでしょう。
大きな魅力は添削指導や質問対応など、独学では得られないサポートが受けられる点。疑問点をすぐに解消できるため、安心して学習を進められます。
- ユーキャン
- スタディング
- フォーサイト
したがって、通信講座はある程度は独学で進めたいけれど、合格までの道筋や学習サポートを受けながらより効率よく学習を進めていきたい方にぴったりです。
教育訓練給付金もおすすめ


資格を取りたい!でも勉強できるか不安。通信講座で勉強したいけれど受講料が高くて躊躇してしまう人もいるかも知れません。
そんな方に、教育訓練給付金が活用できないか検討してみてはいかがでしょうか?
雇用保険に加入している(加入していた)方が対象。正社員でなくても要件を満たしていれば対象となります。
払うだけだと思っていた税金も自分の利用次第では活用できますので、ぜひチェックしてみましょう!
教育訓練給付金制度とは
教育訓練給付金は、働く人や離職者のスキルアップやキャリア形成、再就職を支援するために、国(厚生労働省)が指定する教育訓練講座の受講費用の一部を支給する制度です。
雇用保険に一定期間加入していた人が対象で、在職中・離職中どちらでも利用できます。
支給要件
・雇用保険の被保険者であること(在職中または離職後1年以内)
・支給要件期間(雇用保険加入期間)が原則3年以上



過去に通関士の勉強で資格の学校に通っていましたが、この制度を知らず、全額自己負担しました…
教育訓練給付金の種類と給付内容
教育訓練給付金の種類と給付内容は下記の表のとおりです。本記事で紹介した資格はすべて「一般教育訓練給付金」に該当します。
種類 | 支給率 | 上限額 | 主な対象講座・資格例 | 講座数 |
---|---|---|---|---|
一般教育訓練給付金 | 受講費用の20% | 10万円 | 簿記、MOS、TOEIC、宅建、社労士など | 数千講座 (非公表) |
特定一般教育訓練給付金 | 受講費用の50% ※2024年9月までに受講開始した場合 は受講費用の40% | 25万円 ※2024年9月までに受講開始した場合 は上限20万円 | 情報通信資格、介護職員初任者研修など | 3,220講座 |
専門実践教育訓練給付金 | 最大受講費用の80% ※2024年9月までに受講開始した場合 最大で受講費用の70% | 年間64万円 ※2024年9月までに受講開始した場合 は年間上限56万円 | 専門学校、大学院、介護福祉士、保育士など | 1,016講座 |



簿記は2級が対象など、級によって給付金を受けられる場合もあります。あらかじめ教育訓練給付金の対象かどうかチェックしておきましょう。
【まとめ】転職活動で「資格」は大きな武器になる
- 事務職の転職に役立つ資格は日商簿記・MOS・TOEICの3つ
- 社会人におすすめの勉強ツールはYouTube・アプリ・通信講座
- 教育訓練給付金制度が使えるかどうかチェックしておく
日商簿記・MOS・TOEICは、実務に直結しやすく、人気の資格。知っている人が多いだけに、採用側の評価も高くなる可能性が高いです。
3級や一番やさしい級なら取りやすいのであまり意味もないのでは?と思うかも知れません。
ですが、勉強したことは必ず実になりますし、あなたが手に入れた資格を持っていない人もたくさんいらっしゃいます。
何より合格したときや目標の点数が取れたときの達成感は計り知れない上に大きな自信がつくことでしょう。
少しずつでも早くから資格試験の準備を始めて、合格を勝ち取り、自信を持って転職活動に臨みましょう!
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